アンがグリーンゲイブルズに来て2度目の春がやってきた。去年の今日は、アンが孤児院からグリーンゲイブルズに来た日だ。アンは窓からグリーンゲイブルズの庭の晴れ渡った景色を見渡して、今日を迎えた喜びをかみしめていた。

アンが台所に行くと、マリラが持病の頭痛で苦しんでいる様子だった。今日の喜びを分かちあいたかったが、マリラの様子からそうもいかず、アンはここでマリラの役に立ちたいと、今日一日マリラの代わりに家事一切引き受けることを提案した。アンにとっては、日本でいう“母の日”の気持ちで、この一年の感謝から、是非ともやりたい提案だったのだ。マリラはアンのそんな気持ちとは知らず、学校へ行くまでの間の時間だけのつもりで、手伝いを頼むことにしたが、アンの頼み込むほどの強い気持ちに、任せることにした。

マシューとマリラは、今日がアンとの生活が始まった1周年記念日であることは忘れていたが、アンが来てからの明るい日々を思い、今ではアンのいない日常など考えられない!アンが来る前のグリーンゲイブルズはどうやって暮らしていたのだろうか!と、互いに思うのだった。

アンは、マリラの代役を一旦離れて、マリラに促されて自分の部屋で勉強をしていた。難問が無事に解けたところで、これまでの一年間を思い起こしていた。最初はグリーンゲイブルズに養子として自分を必要と迎えられると信じていたのに、求めているのが男の子で、自分は必要ないとわかり、そのショックははかり知れないほどのものだったが、だんだんと事情が変わっていき、“グリーンゲイブルズのアン”になれたこと。それは、カスバート家に引き取られたことだけではなく、いろいろなことがありながらも、周囲の人々や景色の素晴らしい自然たちにも、すべてにおいて受け入れられた喜びで、今日を迎えられたこと、何もかもが幼少期から考えたら、幸福感にひたるに十分の一年間であった。マシューとマリラには感謝の気持ちでいっぱいであった。

アンの部屋にやってきたマリラに、今日はアンがグリーンゲイブルズにやってきた日だということを告げた。アンには記念日だったが、忘れていたマリラはそれを聞かされて、今朝からのアンの言動と思いを知り、胸にくるものがあった。そして、マリラもアンが来た日のことを思い出し、アンがそれまで出会ったことのない、変に魅力的なおもしろい女の子であったことを思い出しながら、一目散にマシューのところへ行き、そのことを告げたが、あの日、アンを駅まで迎えに行ったマシューですら、その記念日を忘れたことを知って、二人ともその大切な日を忘れるぐらいに、アンがグリーンゲイブルズにいることが自然になっていることを、互いに感じていた。

マシューが、食事がすんだら一緒にブライトリバーまで出かけようと言い出したが、アンには、今日が何の日か覚えてくれていたご褒美のように感じ、うれしくてマシューに飛びついた。マリラは、一緒に出かけることは、マシューと水入らずにするために辞退したが、“喜びの白い道”が、リンゴの花が満開に咲き乱れて美しい頃だろう!と、アンが命名した道の名前を口にして、アンの気持ちに応え、アンもそれがわかってマリラに飛びついたのだった。

「マシュー!ありがとう!!!」

「マリラ! ありがとう!!!」