アンが、孤児院からグリーンゲイブルズにやってきて、初めて出会った人物である。

言葉数も少なく、人付き合いが大の苦手で、特に子供は厄介だとすら思っていて、年老いて畑仕事にそろそろ無理がきかなくなってきた現実がなければ、孤児院から男の子を迎えようなどとはつゆとも考えなかったであろう、この老兄のマシューが、迎えに行った駅舎で待っていた子が女の子であった事実は、なかなか受け入れがたかったが、性格的に声をかけづらかったところに、アンから自然に声をかけてきて、明るく表情豊かに、ひっきりなしに話しを続けるアンの存在が意外にも心地よく、反面、グリーンゲイブルズに必要ないとされるであろう現実を考えるととても悲しい気持ちになるのである。

しかし、到底反対するマシューの妹マリラが、アンを孤児院へ帰そうと出かけた先での出来事から、一転してアンを引き取る覚悟をしたと、アンをグリーンゲイブルズに連れ帰ってきてからは、陰になりひなたになりと、懸命にアンの味方となり、アンに心の豊かさを教えた人物ではなかろうか。

アンが、いろいろな出来事に、心歪まず、ステキな女性へと成長していく姿に、マシューの存在は不可欠だ。

とても言葉少なく、会話がはずむ間柄ではないけれど、そっと見守っていて、アンが密かに思い願っていることをくみ取って、不器用だから簡単に実行出来ないのにもかかわらず、アンのために悪戦苦闘しながら、アンの気持ちに寄り添ってくれるのである。

途中、マシューは、突然の心臓発作で、あっけなくこの世を去るのだが、その悲しみようは半端なく、長年寄り添ってきた妹のマリラにも劣らず、悲しみにくれるのだった。